パン屋の教科書 「季刊まっすぐ 石川達也」

広島に来て渡された一冊の教科書。師の師の、杜氏石川達也さんが特集された本です。
パンではなく、酒造り。現在は茨城の月の井酒造の杜氏としてご活躍されているそうです。

この教科書を読んで、感じるポイントは主に2つ。
1)酒造りの考え方
2)和、そして自分を殺すこと。

■季刊まっすぐ 石川達也 抜粋
「日本の酒造りは江戸時代に完成していた」
「私が造った酒はこれです、ではない。今年も酒が生まれました。私もそのお手伝いをさせてもらいました。」

■パン作りとの共通点
パン作りもヨーロッパで既に完成されていると思っている。

材料である小麦。それを発酵させる乳酸菌と酵母。それを取り巻く環境。デザインするのではなく、自然と一体化するってことだろう。
昔、アラスカ•デナリ国立公園のバックカントリーエリアを歩いたとき、動物たちと同じ地面で歩き、対等だと感じた。当たり前だけど、檻はない。自然の中に自分がいる感覚。それに近いのかもしれない。でも私は彼らと距離を取り、対峙しただけ。一体となったとは言い難い。

■今の日本社会の「和」と「個」
今の日本の教育は右へならえ。社会を出て、急に個性を出せと言われる。実際、私の会社員時代、先輩からもう少しワガママになれと言われたことを思い出した。
「和」ってなんだろうか?自分を殺すとは?

パン作りにおいては、今の環境下で作っていく。それが「和」ってことだろうか。自分がこういうパンを作りたいのではなく、小麦や菌たちと一体になりながら、一緒に作る。そして自分を殺す果てに見えてくる個性があるのだろうか?
まだまだ腑に落ちていないが、現状の理解はこんな感じです。

■まとめ
会社時代と今のパン作りは全く別のベクトルを向いている。その2つの経験を止揚させて、自分らしく頑張ろうと思った。

読書感想文的に書いてみたが、私のパン作りレベルでは説得力0だし、語るべきでもないと感じた。小麦、発酵、パンともう少し仲良くなりたい。

ちなみに私はお酒が飲めないのでコーヒーと共に。いつか会いたい師の師。そしてもう一度会いたい、アラスカの動物たち。