理をもってクープを切る

今回は広島合宿クープ編です。
パン作りの工程をリマインドすると、下記の通りです。

1小麦などの材料の計量
2仕込み(2aミキシング→2bパンチ→2c分割→2d成形)
3焼き(3aクープを切る→3b窯入れ)

クープとは、パンを上手く膨らませるために、生地に入れる切り込みのことです。

柔らかい生地に鋭いクープナイフで切ることは難しい。安全ガードがついていないカミソリで毛を剃るような感覚。
案の定、不器用な僕は上手く切れない。

師からいくつかのアドバイスをもらった。その1つが「理(り)になって切る」

■ 井上雄彦の「バガボンド24巻」
主人公武蔵のライバル、佐々木小次郎が木の棒で雪だるまを切ろうとするシーンがある。それを見た武蔵が「あれは理だった」と感じる。実際に切ろうとするが上手くいかない。
やがて理を思い出した武蔵は、木の棒の行きたい方へと身を任せ、雪だるまに切り込みを入れた。

■理をもって切る
理とは真理、ことわりと訳す。だが、僕自身まだ完全に理解しているわけではないので、上手く説明できない。

僕なりに考えてみると、生地に負けない最適な角度で切ること。その角度の時は力を使わずして、切れていく。
クープナイフの刃先を感じ、体を手放して切ることだと思っている。

バガボンドに倣うなら、実際にクープナイフで自分の皮膚を切るところだが、勇気がないので今日はやめておこう。

■形
電気屋の息子なので、電気シェイバーで髭を剃りながら思う。クープナイフよ、どうして君はそんな複雑な形をしているの?
クープの練習は続く。