火を焚きなさい 山尾三省

■火の用心
子供の頃、「火の用心~」と夜回りをしている音がよく聞こえていた。その後、拍子木で「カンカン」と情緒ある音が鳴り響きます。今で言うところの緊急地震速報の音のようなものだろうか?いや、火事の注意喚起と、地震が数秒後に来るかもしれない速報だと切迫感からくる意味合いが違うか。

■薪窯パン
修行で毎日火を焚いています。これが最初に任せてもらえた仕事の1つです。マッチ1本を擦り、古新聞、薪へと火がついていく様子、薪の焼けるスモーキーな香り、肌に感じる熱、これらは薪窯パン屋の萌えポイントだと僕は思う。

■炭
休日にも火を焚きました。家から持ってきた小さな焚火台に炭を入れて、カンパーニュ、ナスとアスパラガスを焼きました。


先月、ドリアンチームで七輪ジンギスカンパーティーをした時のことです。師匠が炭に火を付ける方法を僕は盗見てました。

炭は炭素の塊です。完全燃焼されるので、煙があまり出ません。炭は街向きの火です。

ちなみに化学式で表すと、
炭素:C
酸素:O2 です。

炭素は加熱することによって酸素と結びきます。
C+O2=CO2
二酸化炭素CO2は目に見えません。だから煙が出ないように見えるのです。
(室内でやると、不完全燃焼となります。そうすると、一酸化炭素が発生して危険です。)

■山尾三省 -火を焚きなさい-
火を焚くときに思い出す詩があります。山尾三省の「火を焚きなさい」です。
下記にて一部だけ抜粋します。

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火を焚きなさい
お前達の心残りの遊びをやめて
大昔の心にかえり
火を焚きなさい
風呂場には 充分な薪が用意してある
よく乾いたもの 少しは湿り気のあるもの
太いもの 細いもの
よく選んで 上手に火を焚きなさい
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■出会い
この詩に出会ったのは、里山ボランティアの先輩が貸してくれた本の中にありました。(「聖なる地球のつどいかな」ゲーリー・スナイダー と山尾三省)
当初は特に何も感じませんでしたが、不思議と読み返してしまう詩です。火を焚くこと、それは今に集中することかもしれません。

■まとめ
山尾三省の詩に出会い、広島パン屋で薪に火をつけ、休日も炭で火を扱う。山尾三省の火とは違うけれども、生活の中で火を焚けることに感謝しています。

冒頭に戻りますが、この文章を書いていて、江戸時代と現代の音の表現方法の違いにハッとさせられました。
「火の用心」カンカン「マッチ1本 火事の元」カンカン、と想像してみる。そして今、この瞬間に集中して、これからも火を焚いていきたいです。