■電気屋
僕は電気屋の息子です。今回、冷蔵庫と洗濯機という切り口で書きましたが、電気屋の息子という立場では何も書けないことが少し悲しかったです。なので、今回もパンのことを書いていきたいと思います。
パンを焼く前の工程に、「ストレート」と「オーバーナイト」があります。ここでは下記の通り定義付けしています。
■ストレート
ミキシング→分割→成形。その日に焼きます。
(八ヶ岳山域の赤岳登山に例えると、日帰りです。荷物を軽くして登りますが、帰宅時間も意識しないといけない)
■オーバーナイト
ミキシング→分割→成形。すぐに大きな冷蔵庫に入れて、翌日焼きます。広島パン屋ではこの方法が取られています。
(上記と同じ登山で例えると、1泊2日のテント泊です。日帰りよりも荷物は重くなりますが、時間に余裕が生まれます)
■a)窯のタイミング
薪窯でパンを焼く場合、窯の温度を適時確認する必要があります。ベストのタイミングは”ある数分間”にしか訪れません。
■b)発酵のタイミング
もう1つ気にするのが発酵のタイミングです。広島パン屋は発酵器を使わないので、発酵は気温に大きく左右されます。発酵もベストなタイミングで焼く必要があります。
(ヨーロッパは発酵器を使わないお店が多いらしい)
■大きな冷蔵庫
この(a)と(b)のタイミングを合わせる便利なツールが、大きな冷蔵庫です。成形後に冷蔵庫に入れることで発酵がとても緩やか進みます。
そのため、翌日の窯の温度がベストになる直前に、冷蔵庫からパンを持ってくれば良いのです。
■手を抜く
僕がお店を開く場合、それらのタイミングを合わせる労力を考えると、大きな冷蔵庫を準備したいと思っています。ですが、この冷蔵庫、高いです。大きさにもよりますが、50万円以上はしそうです。その他の費用も考えて、本気でクラウドファンディングをする必要がありそうです。
広島パン屋の教えの1つに”手を抜く”というのがあります。僕なりの解釈ですが、手を抜くための投資は必要だと思います。
もちろん技術や知恵、焼く数でその労力を克服できるのであれば、別のことに費用を費やすこともできます。ゼロベースで考え、他のパン屋さんを見学して決めていきたいと思っています。
■小さな洗濯機
日々の修行で忙しいですが、生活面での家事もやっています。作業着がある分、以前の生活よりも洗濯の量が増えました。備え付け4.2kgの洗濯機があるので、それでやりくりしています。
広島に来た当初、ものぐさな僕は休日にまとめて洗濯をしてました。洗濯機の容量が小さいため、1回では終わらず、3回も回していました。そのため、休日の午前中が潰れてしまいました。
そこで閃きました。「オーバーナイト」があるではないか。これこそ正にゼロベース思考です。
それからというもの、仕事終わりの夕まづめ(夕暮れの薄明るい状態)に洗濯をして干す。そして翌日取り込むルーティーンにしました。結果、休日にまとめてやるよりも楽でした。
■山を歩く
パン作りも洗濯も1泊2日。登山も日帰りではなくて、Slowに1泊以上はしたいものです。お店をオープンという大事な時期だからこそ、今年の夏は大きな荷物を背負って、山を歩きます。